まだ5月というのに、暑いですね。
パグやフレンチブルドッグなどの短頭種は、特に気を付けましょう。
さて、今回は犬の胸腺腫という腫瘍です。前縦隔という心臓の前の部位(胸の中)にできて、一般的には良性ですが、組織学的に悪いものもあり、周りに浸潤したり転移するものもあります。15歳の女の子のワンちゃんが、咳を主訴に受診され、レントゲン検査をしたところこのような写真でした。
CT検査の画像的にも胸腺腫が疑われました。
15歳と高齢ではありましたが、一般状態が良好であったことと、咳の症状が出始めていたことから、手術で摘出することになりました。
摘出したものです。手術は胸を胸骨正中切開という方法で開胸しました。読んで字のごとく、胸骨を真ん中で切って胸の中にアプローチします。骨を切るのですごく痛そうに感じるかもしれませんが、筋肉はほぼ切りませんので、それほど痛くないのではないかとも言われています(ただし、実際には強力な痛み止めを持続点滴で使用しました)。病理検査では『胸腺腫typeB1』でした。B2,B3,Cとなるにつれて悪性度が増すのですが、摘出状態は良好で、かつ腫瘍随伴症候群も認められていないために予後は良好であると考えられます。
術後2カ月検診では、一般状態は良好、咳は消失し、レントゲンでは心臓の前にあった陰影もなくなっているのがわかります。
家に来たばかりの、子犬や子猫では、咳症状は感染症であることがほとんどですが、高齢になってきて出る咳は心臓病や、今回のような胸腔内の腫瘍であることもあります。腫瘍は小さいうちにとるのが一番ですので、早期発見早期治療が理想です。